はじめに:在職中の転職活動、履歴書『本人希望欄』が成功の鍵を握る

在職中に転職活動を進めることは、多くの方にとって大きなチャレンジです。現在の仕事と並行しながら、新しいキャリアの機会を探し、面接対策や書類作成に時間を割くのは容易ではありません。特に、履歴書の中でも「本人希望欄」は、その書き方一つで採用担当者に与える印象が大きく変わるため、在職者にとっては特に重要な項目となります。

「本人希望欄」は、単なる要望を伝える場所ではありません。現在の状況を考慮しつつ、企業への配慮を示し、あなたの入社への意欲と柔軟性をアピールする戦略的なスペースなのです。しかし、「何をどこまで書けば良いのか」「ネガティブな印象を与えないためにはどうすれば良いのか」と悩む方も少なくありません。特に、現在の会社に知られずに転職活動を進めたい在職者にとって、連絡方法や入社日の伝え方はデリケートな問題です。

このブログ記事では、在職中の方が転職活動を成功させるために、履歴書の「本人希望欄」を最大限に活用する方法を徹底的に解説します。具体的な書き方の基本原則から、入社時期、給与、勤務地、連絡方法といったケース別の詳細な例文、さらには採用担当者に好印象を与えるためのポイントや、絶対に避けるべきNG行動まで、網羅的にご紹介します。

この記事を読み終える頃には、あなたも自信を持って「本人希望欄」を記入できるようになり、理想の転職を掴むための大きな一歩を踏み出せるはずです。さあ、一緒に「本人希望欄」マスターへの道を歩み始めましょう。

1:本人希望欄とは?在職者がなぜ重視すべきか

1-1. 本人希望欄の基本的な役割と目的

履歴書に設けられている「本人希望欄」は、応募者が企業に対して、勤務条件や待遇に関する具体的な希望を伝えるためのスペースです。一般的には、給与、勤務地、職種、勤務時間、休日、入社希望時期など、採用に際して譲れない条件や、特に希望する点を記載します。

この欄の主な目的は以下の通りです。

  • ミスマッチの防止: 応募者と企業双方の希望条件を事前に擦り合わせることで、入社後のギャップや早期退職のリスクを減らすことができます。
  • 効率的な選考: 企業側は、応募者の希望を把握することで、選考プロセスをよりスムーズに進めることができます。例えば、特定の勤務地を希望する人材を優先的に選考するといった判断が可能になります。
  • 応募者の意思表示: 応募者が自身のキャリアプランやライフスタイルに合った働き方を追求していることを示し、企業との対話のきっかけを作ります。

しかし、この欄は単に「自分の要求を伝える」だけの場所ではありません。企業側から見れば、「自社への入社意欲」「業務への理解度」「社会人としての常識」を測る指標の一つでもあります。そのため、漫然と希望を羅列するのではなく、戦略的に活用することが求められます。

1-2. 在職中の転職者にとって本人希望欄が「特に」重要な理由

在職中に転職活動を行う方にとって、「本人希望欄」は、退職して転職活動に専念している方とは異なる、特別な意味を持ちます。その重要性は、主に以下の3点に集約されます。

1. 現在の職場への配慮とトラブル回避

在職中に転職活動を進める場合、現在の会社に転職活動が露見することは避けたいものです。面接の日程調整や連絡手段、入社希望時期など、現在の仕事に支障をきたさず、円満に退職するための配慮を「本人希望欄」で伝えることが不可欠です。例えば、「連絡は現職の営業時間外を希望します」といった具体的な記述は、採用担当者に対してあなたの配慮とプロ意識をアピールできます。

2. 入社時期の調整の必要性

内定が出たとしても、すぐに現在の会社を辞めて入社できるわけではありません。業務の引き継ぎや有給休暇の消化など、現職の状況を考慮した現実的な入社希望時期を伝える必要があります。これを明確にしておくことで、企業側も採用計画を立てやすくなり、スムーズな移行を期待できます。不明確なままにしておくと、入社時期が合わないために内定が取り消される可能性もゼロではありません。

3. 希望条件の明確化とミスマッチ防止の徹底

在職中の方は、現職での経験や給与水準があるため、具体的な希望条件を持っていることが多いです。例えば、「現職の給与水準を下回る場合は要相談」「〇〇のスキルを活かせる職務内容を希望」など、譲れない条件がある場合は明確に伝えることで、選考の初期段階でのミスマッチを防ぎ、無駄な選考プロセスを省くことができます。もちろん、伝え方には細心の注意が必要です。

これらの理由から、在職中の転職活動において「本人希望欄」は、単なる補足情報ではなく、選考を有利に進め、スムーズな移行を可能にするための戦略的なツールと位置づけられるのです。次に、具体的な書き方の基本原則を見ていきましょう。

2:在職中に伝えるべき「本人希望欄」の基本原則

本人希望欄は、あなたの要望を伝える場であると同時に、採用担当者への配慮を示す場でもあります。特に在職中の場合、以下の基本原則を意識して記入することが重要です。

2-1. 簡潔に、具体的に、しかし謙虚に

希望を伝える際は、「簡潔に、具体的に」を心がけましょう。曖昧な表現や回りくどい言い方は、採用担当者にとって理解しにくく、あなたの本意が伝わらない可能性があります。しかし、同時に「謙虚さ」を忘れてはなりません。一方的な要求や命令口調は避け、あくまで「希望」であることを明確に伝えましょう。

良い例: 「連絡は、現職の業務に支障がないよう、平日18時以降または土日祝日を希望いたします。」 (具体的な時間帯と理由を明記し、相手への配慮を示す)

悪い例: 「連絡は、いつでもいいです。」 (相手に丸投げしている印象を与える)

2-2. 前向きな姿勢と入社への意欲を示す

本人希望欄は、ネガティブな要望を羅列する場所ではありません。「~でなければ困る」「~はできません」といった表現は避け、入社後の貢献意欲や、希望が叶った際にどのように活躍できるかを匂わせるような前向きな姿勢を示しましょう。

良い例: 「これまでの経理経験を活かせる貴社の〇〇部門に貢献したいと考えております。つきましては、経理業務を中心とした職務を希望いたします。」 (希望職種に加えて、貢献意欲をアピール)

悪い例: 「経理以外の仕事はしたくありません。」 (ネガティブで一方的な印象を与える)

2-3. 応募企業への配慮と共通理解の追求

あなたの希望が、応募企業の採用要件や社風と合致しているか、事前に企業研究を通じて確認しておくことが重要です。企業側も、応募者の希望を全て叶えられるわけではありません。ある程度の柔軟性を示すことで、企業との共通理解を深め、建設的な対話に繋げることができます。

良い例: 「貴社の事業展開に貢献すべく、入社時期は相談させていただければ幸いです。現在の業務引き継ぎを鑑み、内定後1ヶ月~2ヶ月後を目処に調整させていただければと存じます。」 (企業の状況を考慮し、調整の余地があることを示唆)

悪い例: 「〇月〇日に入社します。」 (一方的で、企業の都合を考慮していない印象を与える)

2-4. ネガティブな印象を与えないための言葉遣い

希望を伝える際に、どうしても「これだけは譲れない」という条件があるかもしれません。しかし、その伝え方一つで、採用担当者に「ワガママな人」「会社の都合を考えない人」といったネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。特に、「現職では〇〇に不満があったので」といった現職の不満を匂わせる記述は厳禁です。あくまで「貴社でより貢献したい」という視点で表現しましょう。

NGな言葉の例:

  • 「~以外はできません」
  • 「~でないと困ります」
  • 「~は絶対条件です」
  • 「現職の残業が多いので、残業は一切したくありません」

これらの言葉遣いは避け、代わりに以下のような表現を検討しましょう。

  • 「~を希望いたします」
  • 「~でしたら幸いです」
  • 「~が望ましいと考えております」
  • 「現在の業務引き継ぎを考慮し、残業の少ない環境での勤務を希望しておりますが、貴社の業務内容を優先いたします。」 (希望を伝えつつも、企業への配慮を示す)

これらの基本原則を念頭に置くことで、あなたの「本人希望欄」は単なる要望リストではなく、あなたのプロフェッショナルな姿勢と入社への真剣な意欲を示す強力なツールとなるでしょう。

3:ケース別!本人希望欄の具体的な書き方と例文集

ここからは、在職中の転職活動で特に頻繁に記載される項目について、具体的な書き方と例文を交えて詳しく解説します。あなたの状況に合わせて、これらの例文を参考にしてください。

3-1. 入社時期について

在職中の場合、最もデリケートかつ重要なのが入社時期の調整です。現在の業務引き継ぎや有給休暇の消化期間を考慮し、現実的かつ誠実な希望を伝えましょう。

例文1:一般的な入社希望日を伝える場合

連絡事項:
在職中のため、現在の業務引き継ぎを考慮し、内定後1ヶ月~2ヶ月での入社を希望いたします。
具体的な入社時期については、貴社のご都合に合わせて柔軟に対応させていただきます。

ポイント:

  • 具体的な期間(1〜2ヶ月)を示すことで、企業側が計画を立てやすくなります。
  • 「柔軟に対応させていただきます」という一文で、企業への配慮と調整可能であることを示します。

例文2:具体的な退職予定日が決まっている場合

連絡事項:
現在在職中ですが、〇月〇日付で退職予定となっております。
つきましては、〇月〇日以降の入社を希望いたします。

ポイント:

  • 退職日が確定している場合は、具体的な日付を伝えることで、企業側もより正確な入社日を検討できます。
  • ただし、退職交渉がまだの場合は、例文1のように「内定後〇ヶ月」といった表現に留める方が安全です。

NG例と改善策

NG例: 「すぐにでも入社できます。」 なぜNGか: 在職中であるにもかかわらず、現職の引き継ぎを軽視している印象を与えかねません。誠実さに欠けると判断される可能性があります。

改善策: 「内定を頂ければ、現在の業務を滞りなく引き継ぎ、速やかに入社できるよう最大限努力いたします。具体的な入社時期については、貴社のご都合に合わせて相談させていただければ幸いです。」 ポイント:「速やかに入社できるよう努力する」という意欲を示しつつ、引き継ぎへの責任感もアピールします。

3-2. 給与・年収について

給与は、転職における重要な要素ですが、伝え方には細心の注意が必要です。一方的な要求と捉えられないよう、謙虚かつ合理的な姿勢で伝えましょう。

例文1:貴社規定に従う意思を示す場合(最も一般的)

連絡事項:
給与は貴社規定に従います。

ポイント:

  • 最も無難で一般的な表現です。多くの企業は、応募者のスキルや経験、社内規定に基づいて給与を決定します。
  • 「特に希望はない」という意思表示にもなります。

例文2:希望年収があるが、柔軟性も示す場合

連絡事項:
現在の年収は〇〇万円です。つきましては、これまでの経験とスキルを活かせる貴社であれば、現在の年収水準を考慮した上で、〇〇万円以上を希望いたします。
ただし、貴社の規定に基づき、柔軟に対応させていただきます。

ポイント:

  • 現職の年収を基準とし、希望年収を具体的な金額で提示します。
  • 「貴社の規定に基づき、柔軟に対応させていただきます」という一文を加えることで、一方的な要求ではないことを示します。

NG例と改善策

NG例: 「年収は〇〇万円以下では働きません。」 なぜNGか: 命令口調であり、非常に高圧的な印象を与えます。企業側からすると、他の条件交渉の余地もないと捉えられかねません。

改善策: 「これまでの経験と実績を考慮し、年収〇〇万円を希望いたします。選考過程で、貴社の給与体系や業務内容について詳しくお伺いできれば幸いです。」 ポイント:「希望」であることを明確にし、対話の余地を残します。具体的な金額を提示しつつも、高圧的な印象を与えないように注意します。

3-3. 勤務地・転勤について

勤務地や転勤の可否も、ライフスタイルに直結するため、重要な希望条件です。特に希望がある場合は、その理由を簡潔に添えると、採用担当者も理解しやすくなります。

例文1:特定の勤務地を強く希望する場合(理由を添える)

連絡事項: 家族の事情により、〇〇(地名)での勤務を希望いたします。 貴社の〇〇支店(〇〇工場)での勤務が可能でしたら幸いです。

ポイント:

  • 具体的な地名を挙げ、その理由を簡潔に伝えることで、説得力が増します。
  • 「~でしたら幸いです」という謙虚な表現を使います。

例文2:転勤の可否について

連絡事項:
転勤については、国内外問わず対応可能です。
ただし、家族の状況を鑑み、〇〇年間は転居を伴う転勤は難しい状況です。

ポイント:

  • 基本的には転勤可能であることを示しつつ、一時的に難しい期間がある場合は正直に伝えます。
  • 「家族の状況を鑑み」といった配慮が伝わる言葉を選びます。

NG例と改善策

NG例: 「転勤は一切できません。」 なぜNGか: 企業の事業展開や将来的な可能性を阻害する可能性があり、柔軟性に欠ける印象を与えます。

改善策: 「現在は〇〇(地名)での勤務を希望しております。将来的な転勤については、個別にご相談させていただければ幸いです。」 ポイント: 現時点での希望を伝えつつ、将来的な可能性を完全に否定しないことで、柔軟な姿勢を示します。

3-4. 職種・部署について

応募する職種が複数ある場合や、特定の部署での勤務を希望する場合に記載します。

例文1:複数職種に応募し、希望順位がある場合

連絡事項:
貴社の〇〇職(第一希望)または△△職(第二希望)での勤務を希望いたします。
どちらの職種でも、これまでの経験を活かし貴社に貢献できるよう尽力いたします。

ポイント:

  • 希望順位を明確にすることで、企業側が選考を進めやすくなります。
  • どちらの職種でも意欲があることを示します。

例文2:特定の部署での勤務を希望する場合(理由を添える)

連絡事項:
貴社の〇〇部門の事業内容に深く共感しており、これまでの〇〇に関する知見を活かし、同部門で貢献したいと考えております。
つきましては、〇〇部門での勤務を希望いたします。

ポイント:

  • なぜその部署を希望するのか、具体的な理由を添えることで、企業研究の深さと入社への意欲をアピールできます。

3-5. その他、伝えたいこと(連絡方法、面接希望日時など)

在職中の転職活動において、連絡方法や面接日時の調整は特に重要です。現在の会社に迷惑をかけず、スムーズに選考を進めるための配慮を記載しましょう。

例文1:連絡方法について(最も重要)

連絡事項:
現在在職中のため、貴社からのご連絡は、平日18時以降または土日祝日に、メール(〇〇@〇〇.com)にていただけますようお願い申し上げます。
お電話でのご連絡は、緊急の場合を除き、ご遠慮いただけますと幸いです。

ポイント:

  • 連絡手段と希望時間帯を明確に指定します。
  • メールアドレスを必ず記載し、緊急時以外は電話を避けるよう依頼することで、現職への配慮を示します。

例文2:面接希望日時について

連絡事項:
面接の機会を頂戴できましたら、現在の業務の都合上、毎週〇曜日午後または土日祝日を希望いたします。
上記以外の日程でも、事前にご相談いただければ調整可能です。

ポイント:

  • 具体的な希望日時を提示しつつ、「調整可能」であることを示すことで、企業側の負担を軽減します。
  • 「事前にご相談いただければ」という一文で、柔軟性をアピールします。

NG例と改善策

NG例: 「電話は一切しないでください。」 なぜNGか: 高圧的で、企業とのコミュニケーションを拒否しているような印象を与えます。

改善策: 「現職の業務に集中したいため、原則としてメールでのご連絡をお願いしております。お電話の場合、緊急性の高い連絡に限り、〇時以降にお願いできれば幸いです。」 ポイント:「原則として」という言葉で、完全に拒否するわけではないことを示し、緊急時の対応も示唆します。

これらの例文を参考に、あなたの状況に合わせた最適な「本人希望欄」を作成してください。次に、さらに差をつけるためのポイントを見ていきましょう。

4:在職中の本人希望欄で「差をつける」ポイント

ただ希望を伝えるだけでなく、採用担当者に「この人は入社して欲しい」と思わせるような、一歩踏み込んだ書き方をすることで、他の応募者と差をつけることができます。

4-1. 企業研究に基づいた希望の表明

単に「給与〇〇万円」と書くのではなく、応募企業が求める人物像や事業内容を深く理解した上で、自身の希望を表明しましょう。例えば、企業がグローバル展開を強化している場合、語学力や海外勤務経験を希望条件に絡めて伝えることができます。

例文: 「貴社が推進されている〇〇事業において、私の△△の経験が貢献できると確信しております。つきましては、海外出張を伴う業務も積極的に取り組みたいと考えております。」 ポイント: 企業への理解を示し、自身の希望が企業のニーズと合致していることをアピールします。

4-2. 柔軟性と協調性のアピール

希望を伝える際は、一方的な要求ではなく、柔軟な姿勢と協調性を示すことが重要です。特に在職中の場合、現職の引き継ぎ期間と入社後の貢献意欲を両立させる姿勢は高く評価されます。

例文: 「入社時期については、現在の業務の引き継ぎ期間を考慮した上で、貴社のご都合に合わせて柔軟に対応させていただきます。一日も早く貴社に貢献できるよう、引き継ぎ作業は迅速かつ丁寧に行う所存です。」 ポイント: 柔軟な姿勢を示しつつ、現職への責任感と入社後の貢献意欲を同時にアピールします。

4-3. 入社後の貢献意欲の示唆

本人希望欄は、あなたの「意欲」を伝える場所でもあります。希望条件の背景に、入社後の活躍や貢献への意欲が垣間見えるように工夫しましょう。

例文: 「〇〇分野における貴社のリーディングカンパニーとしての地位に魅力を感じております。私の〇〇スキルと経験を活かし、貴社の更なる発展に貢献するため、ぜひ〇〇部門での勤務を希望いたします。」 ポイント: 希望職種だけでなく、なぜその職種(部署)で貢献したいのか、その意欲を明確に伝えます。

4-4. プロフェッショナルな印象を与える言葉遣い

ビジネス文書である履歴書にふさわしい、丁寧で正確な言葉遣いを心がけましょう。「貴社」「私」「~でございます」「~と存じます」といった敬語を適切に使用し、誤字脱字がないか入念に確認します。また、具体的な希望を記述する際も、感情的にならず、客観的な事実に基づいた表現を心がけましょう。

意識すべき言葉遣い:

  • 「~を希望いたします」
  • 「~でしたら幸いです」
  • 「~と存じます」
  • 「ご配慮いただけますと幸いです」

これらのポイントを意識することで、あなたの「本人希望欄」は、単なる要望の羅列から、あなたの人間性やプロフェッショナルな姿勢が伝わる魅力的なメッセージへと変わるでしょう。

5:本人希望欄を書く際の「やってはいけない」NG行動

本人希望欄は、あなたの印象を大きく左右する場所です。以下に挙げるNG行動は避け、採用担当者に不必要なマイナスイメージを与えないように注意しましょう。

5-1. 箇条書きだらけで、文章になっていない

希望条件を箇条書きで羅列するだけでは、事務的な印象を与え、あなたの真意が伝わりにくくなります。簡潔にまとめつつも、接続詞などを適切に使い、自然な文章として構成することを心がけましょう。

NG例:

  • 給与:〇〇万円
  • 勤務地:〇〇
  • 残業なし
  • 土日祝休み

改善策: 「給与につきましては、これまでの経験とスキルを考慮し、年収〇〇万円を希望いたします。勤務地は〇〇を希望しており、土日祝日休みで、残業の少ない環境での勤務ができれば幸いです。ただし、貴社の業務内容を優先いたします。」 ポイント: 一つの文章としてまとめることで、より丁寧で自然な印象を与えます。

5-2. 命令口調、一方的な要求ばかり

「~してください」「~でないと困る」といった命令口調や、企業側の事情を一切考慮しない一方的な要求は厳禁です。謙虚な姿勢と「あくまで希望である」というスタンスを常に忘れないようにしましょう。

NG例: 「残業は一切しないでください。定時で上がります。」 なぜNGか: 企業側からすると、協調性がなく、業務への責任感に欠ける人物だと判断されかねません。

改善策: 「残業の少ない環境での勤務を希望しておりますが、業務の状況に応じては柔軟に対応させていただきます。」 ポイント: 希望を伝えつつ、業務への理解と協力の姿勢を示します。

5-3. 条件が多すぎる、細かすぎる

あれもこれもと多くの条件を書きすぎると、「希望ばかりが多く、使いにくい人材」「ワガママな人」という印象を与えてしまいます。本当に譲れない重要な条件に絞り込み、簡潔にまとめることが重要です。

NG例: 「給与は〇〇万円以上、完全週休2日制(土日祝日)、残業は月5時間まで、転勤なし、部署は〇〇部、席は窓際希望、通勤時間は30分以内…」 なぜNGか: 過剰な要求は、企業側が採用をためらう大きな要因となります。

改善策: 「給与、勤務地、入社時期に関する希望を簡潔にまとめ、その他特に伝えたいことがなければ「貴社規定に準じます」と記載するに留めるなど、本当に重要な点に絞りましょう。」 ポイント: 優先順位をつけ、本当に譲れない核となる希望にフォーカスします。

5-4. 空欄で出す

特に希望がない場合でも、本人希望欄を完全に空欄で提出するのは避けるべきです。「特になし」と書くか、「貴社規定に準じます」と記載することで、応募企業の規定に従う意思があることを示しましょう。空欄だと、単に書き忘れたのか、企業への関心が薄いのか、といった疑念を抱かせる可能性があります。

推奨例: 「給与、勤務地、職種、入社時期等、全て貴社規定に準じます。」 または 「特に希望はございません。」

5-5. 嘘を書く、事実と異なることを書く

履歴書のすべての項目に共通することですが、本人希望欄においても、嘘や事実と異なることを記載してはいけません。例えば、実際には退職日が決まっていないのに「〇月〇日退職予定」と書いたり、経験がない職種を希望したりすることは、後々トラブルの原因となります。誠実な情報提供を心がけましょう。

なぜNGか: 後で事実が発覚した場合、企業からの信頼を失い、内定取り消しや入社後のトラブルに発展する可能性があります。

これらのNG行動を避けることで、あなたは採用担当者に好印象を与え、選考をスムーズに進めることができるでしょう。

まとめ:戦略的な『本人希望欄』で理想の転職を掴む

在職中の転職活動において、履歴書の「本人希望欄」は、単なる希望を伝えるスペースではなく、あなたの状況への配慮、入社への意欲、そしてプロフェッショナルな姿勢を示すための重要な戦略的ツールであることをご理解いただけたでしょうか。

この記事では、本人希望欄の基本的な役割から、在職中の転職者にとっての重要性、そして具体的な書き方の原則、ケース別の詳細な例文、さらに他の応募者と差をつけるためのポイント、そして絶対に避けるべきNG行動まで、幅広く解説してきました。

改めて、在職中のあなたが「本人希望欄」を最大限に活用するための重要なポイントをまとめます。

  1. 現職への配慮を最優先に: 連絡方法や入社時期は、現在の業務に支障がないよう、細心の注意を払って具体的に記述する。
  2. 簡潔に、具体的に、そして謙虚に: 曖昧な表現を避け、希望を明確に伝えつつも、一方的な要求にならないよう言葉遣いに注意する。
  3. 前向きな姿勢と貢献意欲を示す: ネガティブな要望ではなく、入社後の貢献意欲や、希望が叶った際にどのように活躍できるかを匂わせる。
  4. 柔軟性を示す: 全てが希望通りにならなくても、企業との協力や調整の姿勢があることを示す。
  5. 企業研究を基盤に: 応募企業の文化や採用要件を理解した上で、自身の希望を調整し、ミスマッチを防ぐ。
  6. NG行動は絶対に避ける: 命令口調、一方的な要求、過剰な条件提示、空欄提出、虚偽の記載は厳禁。

「本人希望欄」は、あなたの個性と状況を伝える貴重な機会です。しかし、その書き方一つで、あなたの印象は大きく変わります。このブログ記事で得た知識と例文を参考に、あなたの履歴書が、理想の転職を掴むための強力な武器となるよう、戦略的に「本人希望欄」を完成させてください。

あなたの転職活動が成功し、新しいキャリアパスで輝かしい未来を築かれることを心から応援しています。